自由記述欄

広く浅く履修するオタクの戯言。

アニメ「殺戮の天使」感想

 

 はじめに

今更ながら半年前2018年夏クールのアニメ「殺戮の天使」の感想です。

原作未プレイにつきご注意。

 

 

フリーゲーム原作ということで、アニメに向いてるのかわからんなと思ったものの

OP主題歌の遠藤正明さんが好きなのでとりあえず1話は見るかとAmazon Primeで見始めました。

ストーリー展開の遅さというかテンポの悪さがやや気になりつつも5話まで見た。

ここまでは本当に夏だった。

 

 

んで。

バタバタしている間にすっかり忘れていて思い出したのが今日。

6話から16話まで(12話までだと思ってたけど)見ました。

 

正直テンポがあんまり良くないなというのは最終回一歩前まで思ってた。

でも結論から言うと「オチは素晴らしかった」です。

頑張って最後まで見るとおおおと言いたくなるタイプ。

 

最後まで語り尽くされないところがあったので

考察というか思ったことを箇条書きにしようと思います。

もちろんネタバレなのでできれば見てから読んでください。

あとキャプチャできず画像がないので16話をお手元にご用意ください()

 

 

 

箱庭とモラトリアム

最終回でようやくあのビルから脱出したレイとザック。

脱出は2人の目標であり、作中で何度も言及されていたことでしたが。

まあ実情は甘くない、と。

 

外に出ればレイは助かるという神父の言葉を信じるしかなかったザックは

撃たれて意識のないレイを抱えビルから必死に脱出をしました。

 

ところが彼らを待っていたのは警察。

確かにレイは助かりました。

けれどもちろん、ザックは捕らえられてしまう。

意識の失ったレイはその経緯を全く知らないまま

精神病棟へと入院させられてしまいました。

 

ザックは理由はどうであれ罪人。

忘れかけてましたけど、一歩外へ出ればあっという間に捕まってしまうのは

当たり前といえば当たり前なんですよね。

 

彼らは、ビルという特殊な箱庭にいたからこそ、2人でいることができた。

目標であった脱出を遂げた直後に

「レイチェルをアイザックが殺す」

という真の目的は叶わないことになってしまいました。

 

正直ここまでずっとテンポが悪いなと思っていたのですが

じっくりと2人の動きを描いてきた分

このシーンは物理的時間が上手く作用してより悲壮感が増したなと思いました。

 

個人的には箱庭とモラトリアムを描いている作品が好きなので中々ぐっときました。

 

 

 

ラストシーンの謎

精神病棟の頑丈な窓を鎌で粉砕し、手を取り2人で脱出してエンドロール。

壊れた窓とそこから覗く美しい月で物語は終わります。

ここまで見た限りでは、台詞から察するに

ザックはひとまずレイを殺してないのかなという感じがしていたのですが。

 

エンドロール後のCパート。構図はほぼ一緒、ですが。

ザックとレイが脱出した後の窓枠には、真っ赤な血。

そして窓ガラスの散らばる床には

あるはずのない、ザックがレイに渡したナイフが落ちています。

あと、よーーく見比べると

Cパートの方が窓の向こうの月が小さくなってるんですね。

 

要約すると謎は3つ。

・血はどちらのもので、どうやって付いたのか

・ナイフが何故あるのか

・月が小さくなっている理由

 

レイがガラスで足を切ったから血が付いてて、あのナイフは何となく投げ込まれた

とか言い始めるとこの話は終わってしまうので

好きに解釈しろよという終わり方だし好きに解釈します。

 

一見すると最もどうでも良さそうな「月の大きさ」のこと。

ただここから考えてみたら解釈がかなり固まったので逆順で行きます。

 

 

月が小さくなっている理由

遡って考えてみると、レイの部屋で神父が眺めている月は非常に大きく

言い方が正しいかはわからないが誇張されて描かれています。

極端に解釈するのであれば

大きな月→箱庭の中、現実と引き離された場所

小さな月→現実

ということになる。かもしれない。

 

これを前提にすると

Bパート(2人が窓から飛び出していった)

→箱庭の中に近い「2人が一緒にいることができる世界」

Cパート

→現実、16話冒頭と同様に「2人で一緒にいることはできない世界」

ということに…なりませんかね。

 

 

 

 

ナイフが何故あるのか

あのナイフがビルの中でザックからレイに渡されたものだと仮定します。

結論から言おう。

どうやって持ってきたのかは解釈のしようがないです。

考えてみたんですがいい経路が思いつかなかった。

血が付いてないから切りつけてもいないですし。

ということで、メタ的な視点からあのナイフが持つ「効果」について考えてみます。

 

件のナイフは元々、言い方が正しいかはさておき「ザックの宝物」だったものです。

レイが持っていた理由は「脱出するまで死なないため」。

しかし、ラストシーンではナイフが持っていたどちらの意味も消えています。

 

「 ザックの宝物」としての意味はレイに渡した瞬間に。

「脱出するまで死なないため」という理由は2人がビルから脱出した瞬間に。

 

ナイフは2人が真の意味で箱庭から脱出できた、のであればいらないのです。

つまり、何かしらの点で2人が現実に戻ってきていないという示唆の可能性が。

そして極論を言うのであれば

「ザックとレイが出会ってしまった時点で既に現実ではない」

という解釈もできることになります。

現実では絶対に交わることのできない2人ですから。

 

 

血はどちらのもので、どうやって付いたのか

時系列というか時間経過が定まらないことと

正直まだ解釈をひとつに絞れないのでとりあえず全部書きます。

 

  1. ザックのもの。怪我していた傷が開いた(服に血が滲んでいるように見える)
  2. レイのもの。ザックが約束通りレイを殺した
  3. レイのもの。そもそも全てレイの幻覚で、飛び降りるときにガラスで切った

 

 

ただどれもツッコミどころが残るんですよね。

 

  1. なぜ窓の内側に付いたのか。ザックの傷口は窓枠そのものまでしか内側にきていない。Bパートで付いていない血がCパートで付いている理由にならない。
  2. 同じく内側には付かない。レイは窓の外に出ている上、鎌は内側に刈り取る形のため、窓の外で殺した場合付着するとは考えにくい。
  3. 警察が来ている描写がある上、精神病棟の備え付け品で窓の鉄格子を破ることが恐らくできない(当たり前ですが)

 

 

ぐだった上にまとまらなかったすみません!!!

あ、ラストシーンでもかかったシリアス用のBGMがすごい好きです。

以上!