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MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~AUTUMN 2022~ 感想

若干今更感がありますが、書きたいことがまとまってきたので秋単2022の感想を書いてみます。

 

 

はじめに

前置きですが、この感想は秋組のオタクではなく冬組のオタクから見た

秋単ないし最近のエーステに関する感想文になります。

秋組のことをあれこれ感想にできるほど詳しくはないような気がするので、

今回の秋単で強く感じた「MANKAI STAGE A3!」とは、みたいな部分を含めた感想を書きたいと思います。

 

エーステをどれくらい見ているのか

読み飛ばして頂いても結構です。

ざっくり言うと冬組が揃って出ている公演は大体全部見ています。以下略称。

・AW2019

・Winter 2020(8月再演時のチケットが取れず唯一映像のみ)

・4S Live 2020

・Winter 2021

・トルライWinter

そして今回の秋単Act2、あと春単Act2は予算と予定の都合がついたので観に行っています。

今回は「最近のエーステ」という裏タイトルでここの話をしようと思います。

夏単Act2は観れていないので前回からそうだったが?というところもあるかもしれません。

また便宜上、ここから先「Act2」の表記は省略します。

 

本題

ここから先、総称として使う言葉について先に断っておきます。

・メインキャラ

秋組のキャラクター6人。

・サブキャラ

雄三さん、支配人など、基本的に原作でスカウト対象にならないキャラクター。

・出張キャラ

他組からの出演キャラクター。秋単であれば夏組のキャラクター。

 

で、なぜこの断りを入れたかというと、まず1点目に話したいのがサブキャラの良さというところだからです。

 

サブキャラの出番と持ち味

A3!の原作の時点で、ストーリーにおいて比較的サブキャラにもスポットが当たる印象がありますが、

エーステはさらにこれが現在進行形で強くなっていると感じました。

例えば、雄三さんや支配人のアドリブパートだったり、カテコでのお願いパートなど。

もちろん出張キャラやメインキャラが担う部分もありますが、

(メタ的に言えば早替えが必要な部分の穴埋めとして)必ずと言っていいほどがっつり喋るパートがある印象です。

 

というのも、エーステでは主要なシーンないし劇中劇をフルでやって歌を使う関係と、

元々のストーリーにいるキャラクターが全員出てくるわけではないということから、

当たり前ですがストーリーの変更ないし一部カットが生じます。

そうすると、例えばMANKAI寮のシーンや稽古のシーンが削られることが比較的多く、

(これは舞台でやるとメリハリがつかず間延びしやすいというのもあると思いますが)

逆に、春単であれば真澄と岬パパのシーン、秋単であれば銀泉会のシーンの占める割合が

ストーリーの尺と舞台の尺を比べた時に舞台の尺の方が相対的に長くなることになります。

また+@として、先述の通りメインキャラないし出張キャラを出せない、

いわば舞台上で尺を稼ぐ必要があるシーンでも着替えのないサブキャラが登場します。

 

つまり、原作でもそれなりに出番のあるサブキャラに対し、

エーステではさらに出番が増えているということになるんじゃないかという話です。

 

そして、メインキャラ以上にサブキャラが難しい点として、

サブキャラの固定ファンはかなり少ない、という点があります。

これは個人の感想として捉えていただければと思いますが、

ある程度キャラに寄せることができれば、元々のストーリーと合わせていい意味でゴリ押していけるメインキャラに対し、

サブキャラは似る似ないどうこうを気にするファンがメインキャラより少ない一方で、

メインキャラ以上に演技力や経験が求められる出番ばかりがやってくるということになります。

 

ここがエーステのすごいところだと思っているのですが、

基本的には最年長ないし2番目あたりのキャストはサブキャラから出ます。

年齢や芸歴が全てではないですが、サブキャラである、またより先輩であるという

一歩引いた視点から、稽古も含め座組みを支えてもいるのではないかと思っています。

(銀泉会会長、雄三さん、レニさん、座組みによっては支配人が最年長だったりもします)

 

基本的には、と書いたのは、普段多くの回数を見ている冬組の公演だとあまり感じなかった点だからです。

というのも冬組ってメインキャラの設定だけではなく、キャストの年齢層もかなり高めなんですよね。

他組ではエーステ開始当時10代だった……みたいなキャストもいる中、

2022年12月現在で20代なのは有栖川誉役の田中涼星さんだけです。

ということもあり、冬組のメインキャラだけでも割と円熟した雰囲気というか、

荒削りっぽくはない雰囲気になってくるんですよね。

 

もちろん、他の舞台でも同様の状況は多々起こりますが、

特にエーステの場合はメインストーリーがありながら大幅に改変し、

なおかつ元々の題材である舞台の面白さ、という点に演目自体を寄せていく必要があるというところを含め、

サブキャラの存在、軸となる演技力は非常に重要だと思っています。

 

これを秋単で非常に強く感じたシーンは、まあ言うまでもないかと思いますが、

莇と秋組キャラ、そして迫田が銀泉会にカチコミにいくシーンです。

このシーン、メインキャラが喋らない時間が相当長いです。

迫田が一方的にひたすら喋るシーンは特に、その特性上、

喋る迫田も大変ですがそれを聞く会長の方が大変なシーンだと思っています。

ぼーっとしているように見えるのか、はたまた上の人間が威厳を持ったまま聞いているように見えるのか、

動きもほとんどなく、セリフもなく、そういったシーンで軸になれるキャストを配役している、

これはエーステの強みと言っていいのではないでしょうか。

 

迫田の口上にも圧倒されましたが、シーンの最後で乱れた襟を正し、

監督に頭を下げる会長の姿があってこそグッと締まるいいシーンだと思いました。

今更感はありますが、あのシーンは劇場で観ると価値が何倍にも高まるシーンだと思います。

 

MANKAI STAGEとMANKAI劇場

エーステの弱点だと思っていた部分、これが解消されたのでぶっちゃけたいと思います。

序盤から中盤にかけての稽古や日常のシーンで歌がないとき、

ちょっと間延びするなというのがエーステのもったいない部分だと思っていました。

特に冬組公演は基本的に複数回観に行っていたこともあり、

なんといいますかこう、ストーリー進行上必要ではあるけれど、

その場では伏線を張るだけのシーン、というところの間延びが気になっていました。

有り体に言ってしまうと、こういったシーンってただ見ているだけ、

舞台上の動きも感情の起伏も大きくなく、消化試合のようになってしまうんですよね。

 

これが秋単で解消されたな、と思いました。夏単からだったらごめんなさい。

日常のシーンに、出張キャラを含めた原作にないやりとりやアドリブがあったり(ニョッキとか三角コーンとか)

うんたらかんたらーの件がただの暗転ではなく抱えられての強制退場になってたり

ただ脚本をなぞるだけではない、その場にしかない舞台の面白さが詰まってました。

 

あと千秋楽の前座の芝居がガチの日替わりだと知ってびっくりしました。

凱旋の12/3ソワレだったので初恋甲子園の衣装着ててやべーってなりました。

 

以前から稽古で出張キャラがアドリブをするという傾向はあったように思いますが、

(書いてて思ったけど冬単のシトロン一成の漫才の見過ぎかも知れない)

ここまでアドリブが多いのは初めてでは?と思いました。

春単は1回しか見ていないのもあり間延びはさほど気になりませんでしたが、

ものすごく印象に残る舞台というよりはストーリーを堅実に舞台化した、

いい舞台だったなあというような感想です。

一方、秋単は1幕が終わった時点で、生で見る舞台としての面白さが過去最高だと思いました。

(レポとか見きれていないので日替わりだと認識しきれていない部分がまだありそうです)

 

で、何を感じたかというと、

これがMANKAI劇場で観るMANKAIカンパニーのお芝居なんだろう

というじんわりとした実感です。

いい意味で、あんまり色々細かくは覚えていないんですよね。

冷静に舞台を見て記憶する脳みそが働いていないので。

 

円盤で観ると原作よりシリアスさが薄れてなんだかなあと思うのかもしれませんが、

「多ステ通いたくなる」「生の舞台」としては今までの中で圧倒的に良かったな、という感想です。

日替わりやりすぎて終演時間が押したり

日替わりネタをいいことにちょっといじられる左京さんがいたり

素直なネタで素直に笑ってしまう十座がいたり

こういう、いい意味での生々しさみたいなものがとても強かったです。

 

終わりに

急に書いたので書き忘れていることもありそうですが、

まあこういうものは躊躇ったら負けなので一旦公開してみようと思います。

 

秋組(+夏組)と同じようなテンションでは冬組(+春組)はやらないと思いますが、

秋単で観せてもらった舞台の良さ、エーステの楽しさみたいなところが

存分に出たいい演目になればいいなあと、冬単Act2に期待しています。

あのシリアスな話にどうぶっこんでくるか、難しいとは思いますが

ぜひこの流れを保持したまま、「舞台」を「舞台」で演じるちょっと不思議な演目として、

何よりエーステが長く続いていってくれればいいなあと願うばかりです。